
北欧ICT事情


デンマークのMaaS事情
noteにて、弊社インターン東の記事『デンマークのMaaS事情』を掲載しました。
デンマーク政府は、アーバニズムや気候変動などの社会問題を解決するべく「2050年までのスマートシティ化」に取り組んでいます。

News, 北欧調査 北欧ICT事情, 多様性と企業マネージメント
朝日新聞にて弊社支援による調査記事が掲載されました
3月1日の朝日新聞の朝刊にて、北欧研究所の支援のもと行われた「電子政府化による離婚手続きの電子化」に基づいた記事が執筆され、掲載されています。 More

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朝日新聞のインタビュー調査を支援しました
朝日新聞様の視察で、国連でも世界一と評価されているデンマークの電子政府の取り組み、またオンラインで離婚が成立する仕組みについて、デンマーク大手のIT企業KMDやデジタル化庁などにインタビューを行い、サポート致しました。
安全が確保されたマイナンバー制度で医療や市民手続きが管理され、電子書箱が義務化されるなど電子政府の仕組みが当たり前に普及している中で、離婚届もオンライン申請にしてしまうのは行き過ぎではないかというテーマをベースに調査を進めました。デンマークでは国民と政府の信頼が厚いということが電子政府化の成功の1つだと言えます。引き続き北欧研究所では先端を行く電子政府についての視察をサポートいたします。






News, Service, 北欧調査 イノベーション・創造性教育, 北欧ICT事情
デンマークのITと教育
日本の大手ITインテグレーション企業に、デンマークのITと教育についてレクチャーを実施しました。デンマークで進む社会のIT化がいかに社会生活に影響を与えているか、またその社会のIT化を支えるための人材がいかに養成されているかを紐解きました。IT業界にとっても将来的により良い人材が獲得できるかどうかは、死活問題です。今後、ますますIT化の進展が予測されるデンマークにおいて、先進的なエンジニア教育に取り組むデンマーク工科大学などの教育プログラムなどを合わせて紹介しました。

News, Service, 北欧調査 北欧ICT事情, 北欧流参加型デザイン
北欧キャッシュレス社会の展望
北欧のキャッシュレス社会について、日本の大手ISerに講演を行いました。
デンマークで広がる少額決済の仕組みモバイルペイをはじめとし、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどの事例を交えながら、今後の北欧でのキャッシュレス社会展望を解説しました。
北欧研究所では、現地北欧のキャッシュレス社会を構成する金融機関やフィンテックスタートアップたちの調査やインタビューなどを実施しております。
モバイルペイに関するレポートNews, Service, 北欧調査 イノベーション・創造性教育, 北欧ICT事情, 北欧流参加型デザイン
北欧発Happiness Technology: Sumondo
Huaweiのオンラインメディア、HuaWaveに「【北欧発Happiness Technology】うつになってからじゃ遅いから――ストレス対策アプリSumondo」を寄稿しました。北欧は、既存の技術をうまく社会に組み込み、人々の生活に身近なところでテクノロジが多く活用されています。その一端をお届けします。

新年のご挨拶
謹んで新春の祝詞を申し上げます。
昨年は、格別なご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様におかれましては、どのような新年を迎えられているでしょうか。
私は、毎年の恒例となったデンマークでのクリスマス休暇を過ごし、その後は吹雪の中のスキーと暖かい部屋の中での積んでおかれていた書籍の読書三昧の日々で年越しをしました。デジタルデトックスが北欧では注目されてきていますが、ネットの接続がない自然の中に入り込み数日過ごすことの効力を感じた数日でした。
2018年を簡単に振り返りますと、5月にEUで施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)やEU-EPAの進展など、現在の不安定な世界政治情勢への対処・巨大IT産業への反発を試みるEUの動き、呼応する日本への期待が注目される年でした。2018年末には、NECによるデンマークの大手SIer、KMD買収のビックニュースが飛び込んできました。皆様もすでにニュースなどでご存知かもしれませんが、デンマーク国内でも大きく報道されました。買収という形ではありますが日本企業であるNECに非常に好意的なコメントが多くみられています。
相変わらず日本と北欧の関係は良好で、その前向きな影響は北欧研究所でも大きく見られています。北欧研究所では、日本・北欧の両側から大きく関心を受け、2018年も活発な研究・調査の一年となりました。未来創造の『戦略デザイン分野』では、北欧のデザインシンキング、参加型デザインやリビングラボの手法をベースにしたプロジェクトを実施しています。日本のIT企業との共同研究として家族のコミュニケーションを支援するITシステムの研究、デンマークのフィンテック企業との新しいプラットフォームのサービスディスカバリー・プロダクトデザイン、社会課題の新しい解決方法として「リビングラボ」研究を進めています。戦略デザインの各プロジェクトは、2019年も継続していきます。『北欧調査分野』では、政治・経済・社会・芸術・技術分野など多岐にわたりサービスを提供いたしました。多様性・多様な働き方、フィンテック, 循環型経済, 地域暖房, スマートシティ, 電子政府の依頼や委託調査など、日本社会の現状を大きく反映し、また小国デンマークの特徴的な点がクローズアップされた年でもありました。『北欧起業・ビジネス支援』では、技術機械分野・日本食分野における日本企業のデンマーク進出支援、法人登記や現地での取引支援など、北欧諸国へのビジネス展開支援を行いました。
いま、世界が揺れているのと同様に、北欧も揺れています。移民排斥、富の不均等、…。「幸せな国」にも課題は多々あり、皆がいつも笑顔でいるわけではありません。しかしながら、北欧には、事実を直視し、議論を続け、最善策の提案を行う勇気を持つ人たちがいます。そして、各所をまきこみ個人個人が自分ごととして考える北欧諸国は、どの国よりも半歩先に解決へと向かっているように思えます。諦めずに最善の策を粘り強く探し続ける、いままで誰も描いてなかった未来を創っていくことを厭わない尖ったイノベーションの宝庫です。北欧諸国の課題解決策や、新しいイノベーション芽を育つ環境創りは、日本にも応用できると考えています。2019年は、そんなイノベーションの方策を数多く報告すると同時に、皆様と一緒に新しくイノベーションを創り出していきたいと考えています。
今後も、北欧研究所は新陳代謝を重ね、新しい知見とを吸収しつつ、今まで以上に多種多様な視点からの北欧情報提供や調査、未来創造を進めていく所存です。 日本からは、北欧は幸せな社会という評価を得ています。私は、14年の北欧生活を経て、本当に幸せに満ち溢れた社会というのは、コミュニティの住人が模索し努力を重ねた結果初めて勝ち取れるのものであり、継続して努力し続けることで維持できるものだと考えるようになりました。私たち北欧研究所は、そんな北欧の試行錯誤から学べることを伝達すること、日本がよりよい幸せな国となるように、日本流の「幸せのかたち」を模索できるような幸せへのヒントを提供していくこと、そして何よりも皆様と一緒に新しい社会づくり、未来創造を積極的に進めていきたいと思っています。
2019年も、北欧研究所(japanordic)に変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
北欧研究所代表 安岡美佳

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「デンマーク 広がる電子化の波」が公開されました。
Japan In-depthに弊社代表安岡美佳と田中亜季が執筆した「デンマーク 広がる電子化の波」が公開されました。本記事はデンマークにおける電子決済の広がりや銀行の取り組み等について解説しています。是非ご一読ください。
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デンマークのスマートシティ
北欧研究所が調査に一部協力した日本総合研究所のレポートが公開されました。「ユーザー・ドリブン・イノベーションによるスマートな街づくりに向けて-海外における「スマートシティ2.0」への取り組み-」と題して、調査部主任研究員の野村敦子さんが執筆されています。海外における取り組み事例としてデンマークのコペンハーゲン市の例がフィーチャーされており、デンマークでは市民が積極的に街づくりに参画していることが見て取れます。ぜひ、ご一読ください。



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人間中心デザインのデンマークIT 2010年
最近は、日本でもデンマークのIT利用が注目されているのだろうか。いくつか興味深い記事があったので、メモ代わりに記しておきたい。
国際大学GlOCOMの研究員猪狩 典子氏による「ICT利用先進国デンマーク(https://www.glocom.ac.jp/column/denmark/index.html)」という連載が6月2日から始まっている。現在は、全7回のうち3回まで掲載されている。
同じくGLOCOMの砂田薫氏による、デンマークにみる「人間のための情報システム(https://www.yy.ics.keio.ac.jp/issj-mm/mm0502/mm0502-7-5x.pdf)」。先端技術が売りなのではなくて、人間が中心の情報システムデザインをしているという内容。
挙げた記事にうまく表現されていて「その通り!」と膝をたたいたこと、それは、日本の電子政府が技術主導であるとするならば、デンマークのIT利用は人間主導であるという点。その本質的な違いは、システム・デザインで、日本ではまだまだ定性的だとして本格利用が進んでいる思われない「ユーザ主導のデザインUser centered Design」や「パティシパトリー・デザインParticipatory Design」が行なわれるという点から見られる。この「ユーザ主導のデザイン」ではまず、どういったシーンで利用ができたら嬉しいかという利用者作り(ペルソナ法)、その利用者の利用シーンのシナリオ作り、そのシナリオでシステムがどのように動いたら嬉しいか、といったシステム(機能)仕様が詰められる。
デンマークでは、ITに限らず、その他の技術も「人を支援するため」に導入されることが多い。福祉現場でスーツ型のロボットが注目されているのは、ロボットに関心があるというよりも、介護師の負担を軽減することに有効であると考えられたからである。実用に耐えるかどうかわからない時期尚早の技術でも、デンマークのニーズには合致するために注目を集めるのである(デンマークの福祉技術、日本のロボットに注目)。デンマークは、必ずしも新技術導入に熱心な国ではないという印象を受けるが、それが生活を支援するもので、生活の質を向上するならば、比較的すんなりと導入されるようだ。少し前までデンマークで見られていた「ロボット反対」論は、どこかに消えてなくなっている。

デンマーク社会のIT化
デンマークと日本は,両国共に情報コミュニケーション技術(Information Communication Technology)の導入が盛んな国と一般的に言われます。世界経済フォーラム(WEF)によれば,デンマークは 2007 年から2009年まで第1位,2010年には3位,2011年7位,2012年4位にランク付けされています。
一方で,日本では,FTTH を代表とした非常に速度の速いブロードバンドが敷設されるなど,要所要所では,非常にすぐれた技術を保有していますが,2012年のWEFランクで は,18位にとどまっています。この違いがどこから生まれているのか,様々な意見があるでしょうが,私は,公共部門でのIT利用が鍵となっていると考えています。
政府や地方自治体と行った公共部門内部でのIT利用が促進されているか,医療や教育といった国や人々の生活のインフラを形作る社会保障分野におけ る IT の利用が政府主導で行われているかという点です。
日本では,元気な民間企業が,世界レベルの技術的に優れた背品やサービスを作り出していますが,社会のIT化は,技術のみでは進みません。社会でのIT利 用は,法律的な枠組みの再調整や全国的な対策が必要になりますので,どうしても政府が主導して進めるのが効率的ですし,市民の心情や利用における安心感と いったソフトな面も大きな影響を与えるため,社会的な認知が重要になってきます。
今回は,デンマーク社会におけるITがどのように進展していくのか,大きな流れを解説するとともに,現在デンマークで大きく動いている2つの分野について,個人的な雑感をお話ししたいと思っています。
現在デンマーク政府は,2015 年を一つの節目として,公共部門とその関連分野に置ける電子化を進めており,2015年までの目標として,初等教育におけるIT導入とIT教材を用いた教育の促進,遠隔医療,ビジネス分野における電子化の進展の3本柱を定めています。
今まで第一段階として公共機関内,第二段階として公共機関と企業間における電子化が,半強制的に進められてきました。
たとえば,公共機関内部で利用される 書類の電子化や,会社設立の申請や税金申告など政府と企業間のコミュニケーションの電子化です。民間企業の電子化の自助努力を促すための仕組みも政府が中 心になって提供しています(※[1]) 。
([1] 例えばオンライン請求書NemHandel,青色申告を簡単に進めることのできるTastSelvなどがあります。)
また,公共分野に置けるIT利用を,「よりITに慣れた」年代から浸透させていこうとする試みも各種見られ,SU(デンマークの学生ローン)関係手続きがほぼ完全電子化されています。
残る公共部門最後のIT化への砦が,政府と民間のコミュニケーション分野で,デンマーク政府が2015年までに完了させるとしている項目の一つとなってい ます。税金の還付,子ども手当関連の手続きが電子化され,また政府からの連絡には,電子的な連絡手段が使われ始めていますし,現在,子どもの保育園登録や 引っ越しなどの申請,各種手続きのうち電子化が優先されるべき公共サービス63項目が挙げられ電子化が急ピッチで進められています。
すでに,デンマーク政 府の電子化は,明確かつ具体的な目標値の設定により,着実に進展しており,デンマーク政府が進める今後の社会のIT化のイメージは,非常につかみやすいの です。
そのなかで,議論にはなっているものの,方向性が定まらない分野というのも存在します。一つは,「電子選挙」です。デンマークで,選挙におけるIT 手段を利用したPR(twitterやFacebok,HPなど)は,前回の2011年総選挙辺りから盛んに見られるようになってきました。電子投票に関 する動きも進展し,各地域で電子投票が実験的に行われています。政府も意欲的で,2011年には,私が所属するITUの研究グループが中心となって大型 ファンドを取得し「DemTech」プロジェクトが開始されています。
今まで電子投票が導入に至っていないのは,技術的な問題ばかりでなく,人的・心理的要素が多く関わってくるためと考えられます。そのため,DemTechプロジェクトでは,いかに民主主義を支援する選挙システムが導入できるか,信頼性を確保できるかを課題としています。
簡 単にデンマークの選挙におけるIT導入の歴史を概観してみましょう。デンマークでは,1962年から,エクセルシート等の利用が始まり,80年代には,電 子投票者リスト作成,紙ベースの投票者リストや投票用紙作成,選挙後の議席集計に計算機が使われてきました。
現在,有権者登録,投票者リスト作成,投票集 計の選挙に関わる3項目での抜本的IT導入が検討されています。2012年末から,法律の改正案が検討されており,2013年,14年には実験的に電子投 票が行われる予定です。電子投票では,どのようなことが問題なるのでしょうか。
たとえば,投票集計アルゴリズムは,安全性の確保を理由として未公開です。選挙の投票結果がどのように計算されているのか分からないという点は,民主主義 が守られているのかどうかという疑問が提起されているようなものです。また,(投票者の)匿名性と(選挙の)透明性も両立が非常に困難な課題です。電子投 票は,民主主義のありかたを揺るがしかねない社会的な課題なのです。
しかしながら,逆説的ではありますが,私は,民主主義とはどうあるべきかという議論が盛んに行われることで,デンマークでは,電子選挙の進展が促進される気がしています。
最後に,現実に何か行われているわけではないと前置きした上で,私が個人的な関心を持っている「社会におけるIT利用」についてお話しして,私のエッセイを終りとしたいと思います。
それは,医療情報の扱いです。公共サービスとして,政府が医療サポートをしているデンマークでは,医療情報の活用は,大きな関心事の一つです。デンマークでは既にオンラインで個人が過去の医療記録や投薬記録を閲覧することができますが,この医療情報の枠組みは,さらに広がっていくと個人的には考えています。現在,多くの遺伝子情報が解明されつつあるのは,皆さんもご存知だと思いますが,記録されるデータに遺伝子情報が加わることはそれほど想像し難くないのです。たとえば,生活習慣病の予防を考えてみます。
肥満遺伝子が見つかった場合には,肥満により発症する疾病に対する処置を事前に行うことができるかもしれません。肥満遺伝子をおさえるための遺伝子情報のデータベース化が進み,臓器提供や不妊治療におけるドナー情報などもデータベース化され,手術から数年後の拒絶反応に備えることができる,そんな日は,それほど遠くないことかもしれません。

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デンマークの医療の効率化と IT
近年のデンマークの医療分野において、IT 利用がいかに進められているかについて、医療サービスの質の向上、資源の有効利用、業務プロセスの最適化という3 つの観点から考察する。JETROの依頼により、2006年に執筆したものである。
https://www.jetro.go.jp/world/europe/eurotrend/pdf/0609R3.pdf

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MØDE通信VOL.9:公共データの 活用法を考える
デンマークは,電子政府政策の貢献もあり,公共データの整備が進んでいます.現在も,ベーシックデータと呼ばれる土地情報などの各種公共データが活用されるための枠組みが,急ピッチで整備されています.
この動きは,急に始まったことではありません.デンマークの統計局Statistics Denmarkでは,公共データが誰にでも使いやすいように整備されていて,この動きも90年代に始まったと言われます.各種分析に活用できるデータがStatistic Bankというサービスによって提供されており,自分でビックデータを引っ張り出し,分析することもできますし.貿易統計など新しく追加されたデータベースのお知らせや,統計局が分析した結果をグラフの形で見ることもできます.
これらをうまく活用することで,デンマークのトレンドを読むことができ,新しいサービスや製品を作り出すための参考に することができます.手短なところでは,デンマーク統計局が毎年出している「Denmark in Figures 2015」は,簡単に読める統計データとして秀逸です.この資料では,データから見る2015年のデンマークの概要を把握することができるのです.
デンマークに関する定量的なデータを活用し,調査分析したい,また新しいサービス展開に生かしたい,そんなプロジェクトを,北欧研究所と一緒に模索してみませんか?

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ヘルシンキの地域冷房
近年の環境や自然エネルギーへの関心の高まりを受け、「地域冷房」が注目されています。地域冷房単体というより、西洋に広く活用されている地域暖房や、その他の太陽熱や下水処理熱などの熱源を有効活用する方法として、熱源水ネットワークの一端を担う役割から注目されているといえます。環境に優しく、コスト効率とエネルギー効率を上げる熱供給方法として、フィンランドでは、導入が急速に進んでいる技術なのです。
西洋で一般的に普及している地域暖房は、CHPなどの大型の温熱源からパイプラインを引き、高温水をパイプラインに流す事で、人口が密集しているエリアに暖房を敷設しています。その一方で、地域冷房は、同じパイプラインの仕組みに、冷水を流す事で、冷房機能をもたせているものといえます。
フィンランドで注目されているその最大の理由は、コスト効率とエネルギー効率が抜群だから。データセンタなどで出た熱を冷却するため、また、大型商業施設で活用するため、フィンランドの冬でも冷房のニーズがあります。冷房に利用されて暖められた水は、循環して地域暖房にまわされます。例えば、空気に放出されてしまえば害となってしまう冷房から排出される熱、海水に放水されれば海水温度の上昇をもたらしかねない下水処理熱などが、都市を循環し、適切な場に再利用されています。同様に、地域暖房に使われ冷やされた水は、冷却水として活用されます。
フィンランドでは、暖房・冷房パイプラインの活用は、2000年頃から急速に発展してきました。そして、前述のように、下水処理熱/水、地熱、太陽光、ヒートポンプなど複数の熱源を活用、海水の冷却利用(冬場)、風力発電などが組み合わされて熱源水ネットワークが構築されているのです。特に,新規都市開発エリアでは,この傾向が顕著であるといえます。
地域冷房の利用は、まだ限られていて、世界でパリ、ストックホルム、そして、フィンランドのヘルシンキがトップ3。ヘルシンキで地域冷房が導入されたのは、1998年なのですが、この15年で導入が拡大されています。フィンランド国内では,ヘルシンキ(1998年),Turku(2000),Lahti(2000),Vierumaki (2002),Tampere (2012),Pori(2012),Espoo(2013)の導入事例があり,どれも複数温熱源や冷熱源を活用した循環式の熱源水ネットワークが構築されています。
最先端の試みで、環境により優しく・都市生活も快適にする地域冷房とそのエネルギーネットワーク、より詳細のレポートは、2014年11月末に公開予定です。

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OECD「e-Leaders」会議における同時通訳
総務省行政管理局からの依頼で,OECDの電子政府政策を議論するe-Leaders会議において,同時通訳を行いました。