インターン体験記:延原拓哉

北欧研究所でのインターンシップは、私のコペンハーゲンでの留学生活において、今まで知らなかったことにチャレンジする機会を与えてくれました。

まず、Webサイト「コペンライフ」の運営と、デジタル雑誌「Nordic Curator vol.2」の発行は、今まで経験したことのない仕事でした。コペンライフは、コペンハーゲンに生活してみたい、生活する予定である、またはすでに生活している日本人向けに、コペンハーゲンを中心としたデンマークでの生活情報やニュースを集めるサイトです。私が運営に携わり始めた時、このサイトは約1年間ほど動いていない状態でした。正直、そもそもWebサイトがどのように成り立っているかも知りませんでしたが、この仕事を通じて、基本的なインターネットの仕組みやブログソフトウェアであるWordPressの知識を身につけるきっかけになりました。さらに、ユーザー視点で考え、コペンライフというWebサイトがどのようにあるべきかを想定し、実際にサイトに手を加えていく過程を経験することができました。また、デジタル雑誌の作成においては、まず雑誌の記事のライターを行ってくれる人を探すことから始め、雑誌のコンセプト策定やデザインの調整、写真撮影などを行いました。雑誌の編集を0から行うという経験はなかなかできるものではないと思います。自分が0から関わったプロジェクトが無事に終了することの喜びを知る、貴重な経験でした。

 

一年を通して、不定期ではありましたが、北欧研究所が受けるコンサルティングの依頼の業務補助を行いました。コンサルティングといえば、今では世界中の企業が行っているビジネスの一つです。私が北欧研究所のインターンシップに参加した理由は、単純にコンサルティングという仕事に興味を持ったからでした。コンサルティングの業務を実際に経験して、本当に自分がやってみたいことなのかどうかを確かめたいと考えていました。そして、インターンシップを通じて、コンサルティングと一口に言っても様々ですが、ビジネスの世界で必要不可欠であるから、個人の好き嫌いの話ではなくて、持っていなければならないスキルの一つであると考えるようになりました。確かに、現代ではインターネットが普及し、誰でも簡単に情報を手に入れることができるようになりました。しかし、コンサルティングにおける調査などを行う中で、いくらインターネットが普及したとはいえ、まだまだ言語の壁を超えることはできていないように感じました。例えば、デンマークの企業が日本について知りたい時、彼らは日本語で埋め尽くされたWebサイトを見て、何も理解できないと思います。Google翻訳を用いたとしても、100%正確に情報を得られるとは言い難いという現状は、誰もが知るところです。そこでコンサルティングの出番となるわけです。このような言語の壁をできるだけ低く、飛び越えやすいものにすることも、コンサルティング業務の一環であることを学びました。

 

最後に、北欧研究所でのインターンシップで得られたものの中で最も価値あることは、人との出会いでした。自分より先にコペンハーゲンに住み始め、他の日本人やデンマーク人とのコネクションを持つ北欧研究所の皆様は、様々なチャレンジの機会を私に与えてくださいました。その中でも最たるものが、Science&Cocktailsというイベントのボランティアに参加したことです。北欧研究所でインターンシップをさせていただいていなかったら、このイベントの存在すら知ることは無かったと思います。「こんな面白いイベントがあるよ」とのご紹介をいただき、興味を持ったからこそ、ボランティアに参加することができました。そして、その経験が、今の自分を動かす最も大きな原動力になっています。異国の地では、自分にとって有益な情報を得ることはなかなか難しいですが、北欧研究所のインターンシップのおかげで、メンバーの皆様から、自分の人生に影響するような情報を得ることができました。そして、自分と興味・関心が異なる人たちが、それぞれ好きなものや得意な分野に打ち込んでいる姿を隣で見られたことも、留学生活の刺激になりました。留学中にデンマークで国民投票があったのですが、インターンシップのメンバーの一人が政党の構成員にインタビューに行ったりしていて、その行動力に感心しました。今まで政治には皆目興味がなかったのですが、実際に興味を持って研究しているメンバーと肩を並べることで、自然と興味が湧くようになりました。自分も何かしらの面で、こうした刺激を与えることができないかと考えるようになりました。こういった、常に周りから刺激を受けることのできる環境が北欧研究所にはありました。

 

北欧研究所の皆様、約8か月という短い間でしたが大変お世話になりました。この経験を活かして、なにか面白いことができたらなと思っております。ありがとうございました。