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幸福とは? Vol.2 ギャップ・イヤーについてのインタビュー(2)

前回の記事(幸福とは? Vol.1  ギャップ・イヤーについてのインタビュー)の内容に引き続き、今回は2回(合計3年間)のギャップ・イヤーを取ったコペンハーゲン大学日本語学科1回生のIda Marie Martensen(イダ・マリエ・マーテンセン)さんに彼女の素晴らしい経験と幸福観についてインタビューをした。以下の文章は、B:林、I:イダの会話体とする。

 

B: 最初のギャップ・イヤーはどのような経緯で取りましたか?

 

I: もともと文学に興味があったのと、英語以外の言語を勉強したかったの。中学生の時にデンマーク人と日本人のハーフの友達がいて、彼と彼のお母さんが話す日本語が私にはとても美しく聞こえた。彼は日本に行くと、いつもお茶やお菓子のお土産を持って帰ってくれて。まだ、日本のことなんて全然知らなかったけど、日本にはデンマークにはない綺麗なものがたくさんある国だと思った。デンマークでは、多くの人が高校(Gymnasium)卒業後にギャップ・イヤーを取るけど、私は高校入学前の15歳の時に最初のギャップ・イヤーを取って、1年間名古屋にホームステイした。

 

B: その時、日本でどのような経験をしましたか?

 

I:  現地の高校に通ったけど、日本語がほとんど分からないし、日本人や日本の文化を理解でなくて、とにかくストレスだった。もちろん、ホストファミリーのことは大好きだったけど、デンマークのことばかりを考えてずっとホームシックだった。特に辛かったことは、デンマークではお酒が合法になる16歳から大人扱いされるのに、ホームステイしていた期間は日本で色々な人に子ども扱いされたこと 。自分が大人として認められなかったことが耐えられなかった。それと、日本語には「いいです」という言葉があるよね?その言葉に「OKです」、「結構です」という真逆の意味があって 、時には「いいです」と言われても、「(本当は)ダメです」という意味が文脈によってあることがなかなか理解できなかった。だから、日本人とのコミュニケーションはすごく苦労した。日本とデンマークあまりにも文化の違いが大きすぎて、帰国後日本が嫌いになってしまった。でも、しばらくして本当は日本が大好きだと気づいたの。まるで、日本がホームカントリーみたいな感覚があって、どうしてか分からないけど日本が恋しくなってしまった。

 

B: デンマークへ帰国後は何をしましたか?

 

I: デンマークの高校を卒業後、やりたいことが何もなかった。大学に行きたかったけど、勉強したいことが分からなくて…。すると、ある日、お母さんが私に「イダは文学に興味があるし、日本のことが大好きだから、また日本に行ってみたら?」って言ってくれたの。私もそうしたいと思っていたから、お金を貯めるために半年間、遊園地で働いた。それまで働いたことがなかったし、やることが多くて大変だったけど、多くの仕事ができるようになり、お金を稼ぐことができたのが大きな自信になった。

 

B: その後、何か人生の転機はありましたか?

 

I: 半年間、遊園地で働いた後に、とりあえず3ヶ月間旅行を兼ねて日本に滞在することにした。 その間に、南青山にあるデンマーク出身のフラワーデザイナー兼経営者のニコライ・ハーグマンが経営する会社の事務所にニコライの知人である友達と一緒に行ってみたの。日本ですごく働きたくて、そのことを相談してみたら、嬉しいことにあっさりとOKしてくれたの。仕事の内容と時期、翌年に再来日して働かせてもらうことをニコライと約束してデンマークに帰国した。デンマークに帰国後は、再び同じ遊園地で働いたけど、日本にいきたい思いが一心で仕事を頑張ることができた。

 

B: その3ヶ月で大きなターニング・ポイントを迎えたのですね。その次の来日でどのような経験をしましたか?

 

I: 2014年の夏から、ワーキング・ホリデーで東京に1年間滞在した。とにかく、一生懸命働いていたけど、最初のうちは仕事がとにかく大変だった。私、日本語の能力とスタッフとのコミュニケーションに全然自信がなくて。でも、デンマーク人のニコライが経営者で、家族みたいな感じの社風だったから頑張れた。もちろん、デンマークの遊園地で働いていた時みたいにゆるい職場の雰囲気はなかったし、問題があればすぐにニコライに報告しないといけなかったから、日本で働くことの厳しさを知った。仕事以外にはね、日本人の友達もできた。彼女は全く英語もデンマーク語も話せなかったけど、お互い心の底から好きな友達になれた。うまく言葉にできないけど…、なんというか、暖かい感じ。企業風習と人間関係を日本でしっかり学ぶことができて良かった。

 

B: 最後に、突然ですが今幸せですか?

 

I: もちろん!デンマークに帰国後、「イダは日本人になっちゃったね」と友達に言われるくらい日本を好きになったし、自分の国のことも更に好きになった。それと、社会の雰囲気が日本に比べてタイトではないし 、お父さんがいつも「好きなことは 110%の力で、それでもリラックスした状態でそれを続ければ良い」言ってくれるから、私は自分の興味がある学問を追い続けることができるの。勉強が楽しい。今コペンハーゲン大学で勉強できているというチャンスをこれから最大限に生かしたいな。

 

B: ありがとうございました。

 

 

 

インタビュー中の生き生きとした彼女の表情、そして自信に満ちた姿が彼女の人生は無限の可能性を秘めているのだと教えてくれる。3年間のギャップ・イヤーを糧に彼女自信が本当にやりたいことを追い求めている。私も彼女に負けてはいられない。今年の秋から日本文学を学ぶため、東京大学に半年間交換留学が決まっているイダさん。「110%の力で、でも、リラックスした状態」で日本文学おいて素敵な学問を修めてほしい。