幸福とは? Vol.6 デンマークのアートから見る幸福観―番外編

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最後まで読んでくださった読者の皆様に、有子さんが教えてくださった非常に貴重なエピソードをここで紹介したい。以下の文章は、有子さんの会話体とする。

 

 

私が今まで一番感銘を受けた瞬間は、女王陛下に私の作品をご案内させていただいた、あの日の経験です。いらっしゃる1ヶ月ほど前、分刻みではなく秒刻みのスケジュール表が届き、王室担当の方が説明に来られ、滞りなくお迎えするために3回程リハーサルがありました。タイムキーパーの指示を仰ぎながら、時間通りに事を進めるという段取りで、万全の準備を整えていました。それくらい特別なことで、全員それなりの緊張感を持ってご到着をお待ちしてたのですが、到着されてご挨拶をした途端、女王陛下の方から目線を合わせてくださる感じがひしひしと伝わり、全く緊張することなくお話ができたのです。張り詰めた空気を一瞬にして崩してくださる、包み込むような温かさを醸し出してくださる感じ。それは私だけではなく、全員同じように感じていたのですが、「緊張しなくて良いのだ」、という空気を作ってくださるのです。リハーサルで決まっていたはずのルートではなく、ご自分が赴くままに作品に近寄っていかれたので、私は女王陛下の動きに合わせて、とてもリラックスしてご案内ができました。平らな国の平らな意識を、女王陛下自らお手本を示してくださいました。そのような女王陛下に、親しみを感じない人はいないのではと思います。またこの時、文化会館の館長が案内するのではなく、私が指名されたことは、とてもデンマークらしいと思いますし、アーティスト冥利に尽きる一生の思い出です。

 

 

 

高田ケラー有子 公式サイト:https://www.yukotakada.com/

 

 

過去記事

 

幸福とは? Vol.1 ギャップ・イヤーについてのインタビュー

幸福とは? Vol.2 ギャップ・イヤーについてのインタビュー(2)

幸福とは? Vol.3 bOblesの遊べる家具から見るデンマーク人の幸福観

幸福とは? Vol.4 ギャップ・イヤーについてのインタビュー(3)

幸福とは? Vol.5 デンマーク人のギャップ・イヤーから見る幸福観

幸福とは? Vol.6 デンマークのアートから見る幸福観