人間中心デザインのデンマークIT 2010年

最近は、日本でもデンマークのIT利用が注目されているのだろうか。いくつか興味深い記事があったので、メモ代わりに記しておきたい。

国際大学GlOCOMの研究員猪狩 典子氏による「ICT利用先進国デンマーク(http://www.glocom.ac.jp/column/denmark/index.html)」という連載が6月2日から始まっている。現在は、全7回のうち3回まで掲載されている。

同じくGLOCOMの砂田薫氏による、デンマークにみる「人間のための情報システム(http://www.yy.ics.keio.ac.jp/issj-mm/mm0502/mm0502-7-5x.pdf)」。先端技術が売りなのではなくて、人間が中心の情報システムデザインをしているという内容。

挙げた記事にうまく表現されていて「その通り!」と膝をたたいたこと、それは、日本の電子政府が技術主導であるとするならば、デンマークのIT利用は人間主導であるという点。その本質的な違いは、システム・デザインで、日本ではまだまだ定性的だとして本格利用が進んでいる思われない「ユーザ主導のデザインUser centered Design」や「パティシパトリー・デザインParticipatory Design」が行なわれるという点から見られる。この「ユーザ主導のデザイン」ではまず、どういったシーンで利用ができたら嬉しいかという利用者作り(ペルソナ法)、その利用者の利用シーンのシナリオ作り、そのシナリオでシステムがどのように動いたら嬉しいか、といったシステム(機能)仕様が詰められる。

デンマークでは、ITに限らず、その他の技術も「人を支援するため」に導入されることが多い。福祉現場でスーツ型のロボットが注目されているのは、ロボットに関心があるというよりも、介護師の負担を軽減することに有効であると考えられたからである。実用に耐えるかどうかわからない時期尚早の技術でも、デンマークのニーズには合致するために注目を集めるのである(デンマークの福祉技術、日本のロボットに注目)。デンマークは、必ずしも新技術導入に熱心な国ではないという印象を受けるが、それが生活を支援するもので、生活の質を向上するならば、比較的すんなりと導入されるようだ。少し前までデンマークで見られていた「ロボット反対」論は、どこかに消えてなくなっている。